「自称イクメン」多発の時期
平成初期の世の中はまだ、抱っこひもをつけて歩く男性の姿は、あまり見られませんでした。ベビーグッズも今ほど豊富ではなく、ユニセックスなデザインも少ないという理由もあったのかもしれませんが、「育児は女性がするもの」という風潮があったのは確かです。
- 抱っこひもをつけているのが恥ずかしい
- 外でオムツ替えをしている姿をみられたくない
- 一人でベビーカーを押すことに抵抗がある
そんな父親たちの価値観を
変えてくれたのが
「イクメン」という言葉。
「イクメン=カッコイイパパ」と単純に思う人が多かったからでしょう。その中でも「パパ」という重要キーワードを省略し、「イクメン=カッコイイと評価される」と勘違いした男性もいたはずです。
外出時にちょっと赤ちゃんを抱っこするだけで、自宅ではオムツ替えは一切しない「なんちゃってイクメン」。お風呂は自分が入れてます!と妻のママ友や女子社員に吹聴する「自称イクメン」の姿、見たことありますよね。
イクメンの定義とは
ちょっと子どもを世話するだけではイクメンとは呼べません。だからといって育児休暇をとってまで子育てや家事に専念しなくても、イクメンはイクメンです。会社より家庭を優先にすることが無理な環境のお父さんもたくさんいるでしょうからね。
【イクメンと呼ばれるための条件】
- 子育てを楽しんでできること
- 子育てを通じて父親として成長できること
- 母にはできない分野の「男の育児」を楽しめること
- 自己中心的な育児にならず、妻への心遣いもできること
う~ん、意外と厳しい??
箇条書きにすると、手厳しいイメージもありますね。でも妻と子供を大切にという気持ちがあれば、それだけで「イクメン」に直結するような気もします。
カッコイイと言われたいから「イクメン」を気取るのではなく、愛情たっぷりに一生懸命楽しむ姿が素敵だから「イクメン」と呼ばれるのです。
妻たちの心は・・・
「イクメン」が新語として周知した当初は、その言葉にありがたいと思うママも多かったはずです。
■イクメンという言葉のおかげで……
- 最低限は育児を手伝ってくれるようになった
- 子育てに協力しないのは罪と感じてくれるようだ
- 妻(ママ)の負担を考えてくれるようになった
- 世間の「流行」が、うちのパパを育ててくれた気がする
でも日本の妻(ママ)たちは、徐々に気づいてしまったのです。
自分の子供を育てているだけなのに、
なぜ男性だけが褒められるのか?
女性はいつも育児、していますけど!?
特に共働きで子育てをしている「働くママ」からは、疑問があがりましたよね。夫の育児サポートに感謝する反面、自分との不平等さを感じていったのです。
- 夫と同様、自分も仕事をしながら子育てもしている
- 仕事、育児だけでなく家事もしている
- 男の人だけ「イクメン」と称賛されるのはおかしい
- 同じことをしているのに「イクジョ」なんて言葉はない
- 女性が家事育児をして当たり前の世の中に違和感
だから、以前テレビでお笑いコンビ『ハライチ 岩井』が発した言葉(以下文参照)に、称賛と同意の声が浴びせられたのもうなずけますね。
自分の子どもを育てて『イクメン』って意味分かんない!当たり前のことしてんだよ?何『イクメン』って。
※2018年元旦放送の『ゴッドタン新春SP 芸人マジ歌選手権』(テレビ東京系)にて
ブレない理想のパパ「つるの剛士」がカッコイイ!
「イクメン」という言葉が新語・流行語大賞のトップテンに選ばれた2010年。この受賞として選ばれたのはタレントのつるの剛士さんでした。当時4児の父として産休を取り、男性が積極的に育児に参加をすることを考えるきっかけとなった事柄でしたね。
授賞式でつるの剛士さんが言っていたのが、
「自分の口からイクメンと発したことがない。男性が育児休暇を取ることが共感をいただいて、大変うれしく思う。育児休暇が普通になって、いい意味でイクメンという言葉が消えていければと思う」
男性の育児参加が特別なことではなく、当たり前の世の中になればとの思いを語っていたと思います。
そして8年の歳月が流れた2018年。妊娠・出産・育児情報誌の「たまひよ」における「理想のパパランキング」で堂々の1位!時間が流れても育児に対しての姿勢がブレない育児ライフが感じられる結果となりました。
【育児情報誌『ひよこクラブ』の「理想のパパランキング」1位の受賞コメント】
「理想のパパに選んでいただいてうれしいです。実際のところは奥さんに聞いてください(笑)。中3から2歳まで子ども5人の子の育児休暇を取りましたが、第1子のとき、デパートでおむつ替えしているパパは、僕ぐらいで「かっこいいだろ」って思っていました。今、末っ子の時代になって、パパのおむつ替えしている姿や、抱っこひも姿が増えましたね。イクメンなんて言葉がいらなくなって、もっと当たり前になっていくといいなと思います」
(つるのさんのインタビューは『たまごクラブ』・『ひよこクラブ』7月号と25 周年特設サイトには動画とともに掲載。
2010年の新語・流行語大賞の授賞式においても、2018年『ひよこクラブ』の「理想のパパランキング」1位のコメントでも一環した発言。好感がもてるカッコイイパパは健在です。
最後に
これまで「イクメン」という言葉は誉め言葉でしたが、共働きが主流の現代社会で使い続けるには限界があるのかもしれません。
男性の育児ブームは幕を閉じ、父親が子育てを「手伝う」のではなく「子育てをする」のが当たり前の時代になる兆しが見られますよね。近い未来「イクメン」が死語となり、主婦・ママがもっと楽になる日がくるかもしれませんね。