「逆上がり」ができなくても生きては行ける?
逆上がりができない子供や、練習を嫌がる子供から「できなくて何が問題なんだ!」と言われたこと、ない?
はい、おっしゃる通り。
逆上がりができなくても
普通に生きて行けま~す。
日常生活で使うかと聞かれたら、答えはNO!
進学や就職の合否に影響することも、ないに等しい。
逆上がりができなくても生きていけることは、多くの大人たちが立証済。
しかも、大人になって気づけば「できていた逆上がりができなくなっていた(笑)」なんて人もたくさんいる。それほど、人生に必要のないものかもしれない。
「できなくても、大人にはなれる」。
このことは、受け止めてあげてもいいわよね。でも、子供達は知らないの。逆上がりができるようになることで、得られるものがたくさんあることを……。
言葉を体現する力と理解力
逆上がりは、腕力、腹筋、背筋が強ければ、筋力だけでも回れてしまうことがあるけれど、子供はそうはいかない。
だから、逆上がりを習得するにはコツが必要なのよね。
踏み切りと振り上げの反動の利用や、おへそを軸に回転するイメージに、肘を最後までのばさないことなど、あらゆる条件が重なって、成功につながるの。
その一つひとつの「言葉」を体で表現することができれば、「逆上がり」はできるようになると考えられる。
「逆上がり」=「体現力」
幼い頃に、逆上がりを練習するということは、「プレ・ゴールデンエイジ」に、「体現力」と向き合うことを意味する気がするの。
体現する力は、子供が成長するうえできっと役に立つはず。「言われたことを、すぐ体で表現できる」、「目で見た動きを真似して体で再現する」という能力は、スポーツ選手には必須。また造形やピアノといった運動以外のあらゆるものにも、影響はあると思うのよ。
何に役立つの?
逆上がりができる子供は、体の動かし方や使い方を、理解して体で表現できた証だと思うの。
一つ一つの動きには理由があって、それを正確に使うことによって、点が線で結ばれていくように、体が思うように動くこと。たとえ一度に理解できなくても、補助板やタオル練習、ベルトに、体操など、あらゆる練習法を経て、体が理解していく感じ。それを、幼い本能で学べるのが「逆上がり」な気がするのよ。
だから子供が成長の過程で、「上手になりたいと思う何か」に出会った時、「逆上がり」そのものは役に立たないけれど、「逆上がりができるようになった経験値」は役に立つはず。
言葉を理解して、頭の中にイメージを作り、それを動作で表現することの基本ができていると、習得までのスピードが間違いなく速いのよ。そして、極端な話、テレビを見ているだけでも能力はアップするかもしれないから。
あとは「達成感」とか、コツを掴んだ瞬間の気づきなど、精神的な成長にもメリットがあるはずだけどね。
「逆上がり」を練習させればよかった体験談
これは体が大き目なA君の話。A君(当時6才)は、腕力もあり足も速く、ジャンプ力もあり、基本的な身体能力としては高い男の子だったの。
でも全般的に不器用な子で、体の使い方を知らないから「逆上がり」はできなかった。その子のお母さんは、基本的な身体能力に安心して、「体育の時だけだしね」と、結局「逆上がり」を練習させずに、彼はできないまま成長したのね。
そんなA君も小学校高学年になり、バスケをやるようになった。足は速いし、高く跳べるし、フィジカル的には目立つ選手。でも、どうしても動きがおかしく、活躍できない。シュートのフォーム、ボールの運び方、全てがぎこちないのだそう。
何度練習しても、体に染みこまず、コーチの指導もなかなか体で再現できず、苦労していたそうな。しかも、自分で出来ている時と、出来ていない時の差に、本人が気づくこともままならないのもネックだった。
一つのフォームを習得するのに、人の数倍も時間がかかってしまい、しかも忘れる。これはスポーツ選手で上を目指すには痛いデメリットだと、耳の痛い話を聞かされたと、言っていたわ。
そのお母さんが言っていたのよ。「体で表現する力を、小さい頃に鍛えてあげればよかった」って。もちろんまだまだ小学校高学年。これから鍛えるつもりと言っていたけれど、「逆上がりの練習をさせておけば、少しは違ったのかも」と、後悔を話していたわ。
「逆上がり」のススメ
考え方は人それぞれだから「逆上がりができなくても、不自由しないし、まぁ、いいわ~」と、思う人もたくさんいるはず。それはその考えで、否定はしないわ。
そして、「逆上がり」は生きるために必要なものかと問われたら、やはり、できなくても生きていけるというのが答え。
ただ、「逆上がり」はきっと、間接的なところで絶対に役に立つと思うの。逆上がりができるようになった「スキルの基本」があるとないとでは、もしかしたらその後の人生の「スムーズさ(楽さ)」に差がでるかも、しれないわよ。