※記事内の数字関連はあくまでも仮定です。
温度差と不公平感の緩和に…
PTAは、保護者はボランティアとして活動よね。だからPTA賛成派と反対派とでは、活動意欲に温度差があるの。
「積極的に参加する人」と「なんとかして逃げ切る人」に分れるから、お互いに不満もでるし、人間関係に亀裂がはいることもあるわよね。
そこでSNSや個人のつぶやきの中で見かけた案が、PTA活動に「謝礼」を払うという方法。PTA役員を引き受けてくれる人に、会費から謝礼を払うという仕組みらしいの。
「画期的!」という意見も多く聞こえる中、「これ、実行できるの?」という疑問をもつ人もあり……。
どんなスタイルになりそうか、考えてみたわ。
【例題とする小学校(仮)】
1クラス33人~34人×1学年3クラス=全校生徒約600人
PTA会費とは別に「謝礼代」を徴収するとしたら……
最近「PTAは時代にあわない」とか「全てを外注扱いにすればいい」という意見があるわよね。
でも、外注するには高額なお金が必要。保護者間で「謝礼」を徴収し、まかなう方が現実的かと思うので、一旦、考えてみたわ~。
A.【役員以外から「一律」徴収するパターン】
★その年に役員をする人は、PTA活動謝礼は不要。
★役員以外
・PTA会費………3,000円
・PTA活動謝礼…6,000円(月額500円)
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役員は負担0円で、役員以外の家庭の出費=9,000円(子供1人の場合)
※子供が2人になるとPTA会費が少し高くなるので10,000円くらい?
全校生徒600人として、うち役員活動をするのが50人~100人とすると、謝礼を払うのは500人~550人。約300万円~350万円の謝礼金が集まる計算。
でも『役員以外から一律徴収』というスタイルは、平等のようで、クレームが来そうよ。
だって、多くの人は1年間役員という任期を消化するタイプなのよ。基本的に「PTAを受ける」人からすれば、「PTA謝礼金」のせいで、毎年の出費が増えるだけの思考となる。
=単純計算で6,000円×5年間=30,000円の出費。
これは大半の人にメリットがないと思われるわ。
『役員以外から一律徴収』は、1年間6,000円で役を逃れられる反対派の人が、喜ぶだけな気がするわ。
B.【パターンに分けて徴収】
PTA役員からの謝礼費は徴収不要はAと同様。役員の選出そのものを完全拒否をする人のみ、謝礼費を年払いする。
ただし選出に参加しても定員に漏れる人もいるので、その場合は「完全拒否の人」とは差を付け、低額徴収もしくはボランティアでの活動サポートを選択可能とする。
★PTA役員…会費3,000円のみ
★役員選出に参加したが漏れた人。
※PTA会費にプラスAかBを選択
…A.ボランティアで活動サポート(年2回)
…B.謝礼費 1年分1200円(月額100円)
★PTA役員選出の完全拒否と活動不参加を希望する人
…PTA活動謝礼…12,000円(月額1,000円)を年払い
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全校生徒600人として、選考拒否希望者が全体の20%~25%とすると、120人~135人(144万円~162万円)。
さらに抽選に漏れた人で低額謝礼を選ぶ人20%~25%(144,000円~162,000円)を加えると、約140万円~約180万円の謝礼代を集金できる計算。
一律ではないものの、【A】【役員以外から「一律」徴収するパターン】より【B】【パターンに分けて徴収】の方が現実的かも。
ただ、これを実行するとなると、「謝礼は払わずに活動も避ける」という人が出てくるかも。その他ちょっとした不正も心配。『抽選で役員を免れた人』と『当ってしまった人』が、個人的に交代をするトラブルもゼロではないかもしれない。
それらを絶対に逃がさない管理システムを作るのは、かなり大変だと思うわ。
「謝礼」は現代風の発想だけれど、
実行するとなると、課題も満載……
仕事内容の簡素化と役員の人数削減にひと役??
PTA活動への謝礼が、家計のお財布から出るとなれば、必然的に支出の削減(節約)のにつながってくるはず。
- 出費する側は、不要な人件費を払わないで済むようにとの気持ちが芽生えるはず。(支払い額を安くしたいと思う)。
- 謝礼を受け取る側も、限られた予算から無駄な人件費削減を目指すはず。(大して仕事をしない人に謝礼が配当されないよう交通整理)。
「PTAを不要とまでは言わないけれど、この委員会はいらないよね?」との声を聞いたことない?
役員をやらずに済む人が出ると不平等だから、帳尻合わせの人数設定もあるようだし……。現存する役職や委員会が、必要なのか不要なのか、あらためて検討する良いきっかけとなるかもしれないわよ。
本当に必要な仕事だけを
絞り出せる可能性も……
「謝礼」を管理することで新たな仕事やルールも増える
謝礼が発生するということは、管理が必要となる。徴収、勘定、支払いに帳簿など。PTA会費とは別の「会計」が要されるはずよね。この仕事、かなり大変そうだけど……。
それに、謝礼支払いのルールや金額の基準も決めなければならないでしょ?
- 委員会や役職に対して、基準を定めて支払う?
- 年払いで、年度末に一括で現金支払い?
- 会議1回500円、見守り1回300円など、細かい項目設定を作る?
- 役員別の単価を決め、プラス労力に対するポイント制で加算?
しかも、お金がからむところに文句はつきもの。「誰がいくらもらっている」とか「私より楽なのに謝礼が多いのはおかしい」、「休みがちだったのに、これじゃ謝礼泥棒だ」など、保護者たちのネタは尽きないかもしれないわよね。
お金がからむと
人間関係もこじれそう……
謝礼とはいえ「時給」には満たない
たとえば多く見積もって、保護者の40%~45%から謝礼代が集金できたとしても(例300万円弱)、PTA役員の人数で割ると、そんなに大きな額にはならないはず。
1年間でPTA役員の定員を100人とするなら、1人年間30,000円。月額になおすと2,500円ていどよ。
PTA活動のために1日仕事を休んだり、遅刻や早退、LINE連絡などもろもろを含めて考えたら、謝礼とはいえ、時給と呼べる金額にはならにかもね。
【問題点】
・大した額ではないものの「謝礼をもらっているなら、やって当然」と、役員に対して感謝の心をもたなくなる人が出る。
・「お金払ってるんだからもっとしっかりやれ」という、お客様感覚の人が増えると困る。PTA役員が不快な思いをすることもあるかもしれない。
・仮想の例題で「300万円~350万円の謝礼代」としてあるだけで、実際にそこまで集まるかは不明。
・謝礼代の合計が年度によって異なるため、フォーマット化しずらいのも難点。
参加したくない人にとってはお金で解決できる制度。でも、参加する側は、気分的には違うけれど、現状と比較してデメリットが増える可能性も高いわよね。
いっそのこと「お仕事」と呼べる
謝礼が出せる方法を考えた方が、
トラブルが少なくて済むのかな……。
画期的な案だけど、ちょっと難しいかも
PTAに謝礼制度を導入すると仮定として、ちょっと考えてみたけれど、あれこれトラブルが予測されちゃう。実行するのは難しいかもしれないわね。
このシステムは「PTA反対派」にとってメリットが高いけれど、「PTA賛成派」にとっては、デメリットもあり、それは未知数……。
そもそも「PTA賛成派」と「PTA反対派」がいるだけに、全員が満足するシステムなんて無いのかもしれない。
あと、平等にというなら、保護者全員から謝礼代を徴収して、PTA活動を丸ごと外部に委託するという方法ね。
これは確かに平等ではあるけれど「外部委託じゃ、そもそも“PTA(Parent-Teacher Association)”じゃないし!」なんてツッコミも入りそうよね。
今回シミュレーションした結果、「金銭」という案は画期的ではあるものの、新たな問題が出ることが予測されるわ。
ただ、もし80%以上の人がお金を払ってでもPTAを拒みたくて、残り20%が「我が子が在学中はPTAの活動を仕事だと割り切る」とスッキリ分れるようなら、それはまた別の話。謝礼制度が成立する可能性も……。
でもそれって、「賛成派」と「反対派」の割合に左右されるということよね。そのバランスで解決できるなら、謝礼に頼らなくても上手くいきそうな気も……(ふりだしにもどる)。
一度、保護者全員に、
「PTAは必要・不要」の
本音アンケートを取ってみたいものだわね。
良い案が見つかりますように……
PTA活動は、本来『子供たち』のためのもの。大好きなお母さんやお父さんたちが、自分たちのために頑張ったり、自分たちと一緒に学校に参加する姿もまた教育のひとつと考えられているっぽいわ。
ただ、その反面、PTA活動があるがゆえに、自分の両親が大変な思いをするのも、子供たちのためにならないと思うの。PTAが原因でストレスを抱えて笑顔がなくなったり、病気の体を引きずって我慢して参加するのは、子供にプラスとは思えないから。
結局、保護者たちの意見や価値観が一致して、足並みさえ揃えば、現状のスタイルでも、謝礼を導入するでも、何をしてもスムーズに行くのでしょうね。
それができないから、みんな苦労しているってことで……。
「どうか不公平感が緩和される案が見つかりますように」と祈るばかりだわ。