低温調理のメリットと不安
低温調理とは、フライパンでは調理できない低めの温度帯(100℃以下|お肉が焼けるていどの温度)で食材を調理するというものです。
「焼く」「煮る」「蒸す」に次ぐ新しい調理法として、近年注目されています。
~低温調理のメリット~
- タンパク質が固まらない温度で(低温)、お肉や魚を調理することができる。
- 厚みのあるお肉も、表面だけでなく中心部まで火を通すことができる。
- 中心部と表面部の温度が一定になるので、ムラがなく均一に仕上がる。
- 素材から水分が抜けて縮んだり、硬くなったりすることを防げる。
- 料理が苦手な人にも扱えて、料亭のような本格料理が楽しめる。
骨や筋があるお肉をフライパンやグリルで焼くと、外側と内側の加熱具合に差がついてしまいませんか?
しかし低温調理器での加熱なら、塊肉や骨・筋が複雑に入り込んでいるお肉も、芯まで狙った温度帯で加熱をすることができるのです。
食材のもつうま味や栄養を逃さず、おいしさを最大限引き出せるのが特徴。
~低温調理は「低温調理器」で簡単にできる!~
メリット多数の低温調理ですが、それ専用の調理器具「低温調理器」を活用すれば簡単です。袋に入れて真空状態にした食材を、お湯に入れておくだけ!
湯煎とは違い温度変化もないため、失敗せずに「ちょうどいい火入れ」ができる便利グッズです。
~低温調理のメリットに潜む「不安」~
低温調理が食材にメリットをもたらす反面、「低温で加熱することで、菌の繁殖や食中毒のリスクがあるのでは?」と心配になってしまう方もいるでしょう。
✔check!
低温だからおいしいけれど、
低温だと不安。
その対策を知りたい!
低温調理での食中毒を防ぐための設定温度
低温調理で多くの人が気になっているのが食中毒です。いくら低温調理といっても、低すぎる温度での調理はNG。温度と食中毒について、基本的な情報を把握し、知識としてもっておくことをおすすめします。
食中毒は、20~50度の温度帯に長時間食材をおくことで危険性が高まるといわれています。
※厚生労働省の指標
食中毒防止の加熱条件:「中心部が75度で1分間以上、またはこれと同等以上まで加熱されていること」
【Q.疑問】厚生労働省の指標を参考にすると「75度以上」とあり、でも低温調理器を使ったレシピで「65℃×時間」と書いてある場合。これは大丈夫なの?
【A.調査】これは70度であれば3分程度、68度なら5分、65度なら15分ほどに相当します。
なお、低温調理器を使わずに「60度のお湯の中に30分入れた」ではNG。この状態では、お湯は60度から徐々に下がっていき、肉中心まで加熱することができないからです。
くれぐれも、低すぎる温度や短すぎる時間は食中毒リスクが高く大変危険なのでお気をつけください。
~低温調理をするうえで食中毒を防ぐポイント~
- 最低でも上記の加熱時間を守ること。
- 低温調理以外の過程(事前に焼く、低温調理後にグリルを使うなど)でしっかりと芯温をコントロールすることも大切。
- 中心温度をあげるために、大きすぎる塊肉の場合5cm厚ほどに切り分ける。
- 低温調理にかけた食材をそのまま放置しない。
- お湯でそのまま保温しようとすると、温度が下がるので注意。
- 加熱し終わった食材はすぐに仕上げ、放置しない。
- 過熱後に冷蔵庫で保存する場合は、氷水などで急冷する(食中毒菌発生の抑制につながる)。
※「低温調理」を行う際には、独自の湯せんではなく「低温調理器」で温度管理をするのが安心です。
✔check!
ポイントをおさえるだけでも、
食中毒のリスクは軽減できる。
【牛肉・豚肉・鶏肉・鴨肉】お肉別低温調理レシピとポイント!
※登場する低温調理は「Hismile(ハイスマイル)」の低温調器を使用した、プロ監修レシピです。
【牛肉の低温調理|温度・加熱時間・コツ】
牛肉は55度~58度くらいで仕上げると最も柔らかく、肉汁も逃げないためジューシーに仕上げることができます。
※調理時間はお肉の量や形状により変動。
牛肉はレアが好きな方も多いですが、肉質や鮮度によって食中毒リスクは変わります。
鮮度がよければ半生でも大丈夫ですが、一概にOKとはいえないので注意が必要です。
加熱後のお肉をカットすると、空気に触れて徐々に断面が赤くなります。
色味が鮮やかなので火が通っていないのか心配になるかもしれませんが、これが低温調理ならではの色合い。
きちんとレシピ指定の時間を守っていれば大丈夫ですよ。
【豚肉の低温調理|温度・加熱時間・コツ】
豚肉は食中毒を避けるため、中心温度が63度にあがった状態で30分加熱する必要があります。
また、豚肉の方が脂身や筋が多い傾向なので、7時間ほどじっくり加熱すれば、筋までゼラチン状になってトロリとした食感に仕上がります。
しかし加熱時間が長くなればそのぶん水分も出てしまうため、肉本来の食べごたえとジューシーさを味わうなら2時間程度でも大丈夫です。
その場合は温度設定を高めにしたり、肉の厚みを調整したりして、しっかり火が通るようにしましょう。
【鶏肉の低温調理|温度・加熱時間・コツ】
鶏肉も豚肉と同様、中心温度63度で30分しっかり過熱が必要です。
サラダチキンは鶏胸肉でつくりますが、胸肉は脂身が少なくタンパクなので、塩などの下味をつけて低温調理するだけでおいしく仕上がります。
胸肉よりも脂身の多いもも肉の場合は、低温調理の前後どちらかに一旦表面を焼いたほうが、うま味が増して味わい豊かになりますよ。
【鴨肉の低温調理|温度・加熱時間・コツ】
あくまでも新鮮な鴨を使用することが前提です。
鴨肉は脂身部分を焼いたほうがおいしく仕上がるため、事前に焼いて表面温度を上げることで、火入れのバランスをとるのがポイント。
鴨肉も、カットした断面が徐々に赤くなってきますよ。
・レシピ【約400gの鴨肉・鴨葱】約58度で30~40分
【魚の低温調理|温度・加熱時間・コツ】
サーモンや金目鯛など、魚料理にも低温調理が大活躍。とろっとした上質な食感を楽しめます。
魚の場合、肉よりもタンパク質の変性温度が低いため、やや低めの温度で調理することが可能。
ただし、食中毒を防ぐために30分以内で仕上げたほうがいいでしょう。
そして新鮮な魚を使ってくださいね。
Hismaile(ハイスマイル)の低温調理器
ご紹介したレシピで使っているのは、「Hismile(ハイスマイル)」の低温調器です。
クリップ式なので手持ちのお鍋に設置しやすく、コンパクトで収納場所もとりません。
肉料理はもちろん、魚・卵・スイーツまで、さまざまな料理を楽しめる低温調理器。公式サイトではレシピが続々紹介されているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
・食材は、新鮮なものを使用してください。また、調理前の食材は適切な状態で保存してください。
・調理中はこまめに手を洗い、調理器具は使用後に洗浄・殺菌を行いましょう。