人気写真店での撮影画像データは…
七五三の写真撮影といえば、素敵なレンタル衣装と可愛く写す撮影テクニックが冴える人気写真店にニーズが集中しますよね?個人が営む写真館はさておき、メジャーな写真店では撮影画像は有料です。はじめて写真館を利用する人は、案外気にしていないかもしれませんがこれは重要ポイント!
■スタジオ「β(仮称)」 画像データ料金=税込5400円
撮影基本料金+商品代+データ代 5.000円(税込5.400円)
※撮影後、購入商品のデータは5.400円で買うことができる
■スタジオ「α(仮称)」 画像データ料金=税込540円
※撮影後、希望者に購入画像データを税込540円で贈呈。ただし引き渡しは撮影日から一年後
いずれも撮影基本料金と品代はかかりますが、片方はデータ料金が5.400円かかり、片方は受領期間の関係で「年賀状には間に合わない……」。結局、クオリティの高い七五三の写真を年賀状に使うためにはお金がかかるというわけです。
お金をかけずにデータを使いたい
七五三の写真を年賀状に使うためには画像データが必要です。自分の元に残す手っとり早い方法は、購写真をデジカメで撮影するもしくはスキャンで取り込めば、データ化できますよね?素人の接写であることや、コピー防止の表面処理がなされていることなど、比べれば確かに画質は低くなりますが、取り入れるのはハガキサイズの中での写真の大きさ。レイアウトを工夫して妥協すれば、耐えられなくはありません。
これについて、「いつもやってるよ!」「なんだ、そのくらい知ってるよ~♪」という人もいれば、「それいいかも!」と感じた人もいるかもしれまんが・・・、前者も後者も気にしておきたいのが法的問題について。
それって、いいの?
手軽に写真を撮れる現代社会。一般レベルの撮影、印刷、複製機材、ほかSNSも発達している時代だからこそ、法的問題についてもあれこれ話題となっていますよね。
■「デジタル万引き」(造語)について
あらゆるものがデジタル化されている近年。「デジタル万引き」という日本雑誌協会(JMPA)と電気通信事業者協会(TCA)による造語があるのをご存知ですか?店頭で販売されている書籍や雑誌の内容をカメラで撮影して、書籍を購入することなく情報を得る行為を指すそうです。“万引き”と付く造語なので刑事的な処置が適応される印象がありますが・・・
- 有体物を窃取するわけではないので窃盗罪としては成立しないという
- 私的複製であれば、著作権に関しても違法ではないという
- 撮影画像を商用利用もしくは私的複製の範囲を超える場合は違法とのこと
今回の「購入写真(データ未購入)」を撮影して複製という論点では、「デジタル万引き」という言葉よりも「著作権」。気楽にスルーできませんよね。
■「著作権侵害」について
フォトスタジオで撮影された写真の著作権は、撮影者もしくは写真館だそうです。ただし、ネガや画像データの購入手続きにより、一般的にはその所有権を受けたとみなされる(契約により異なる)そう。
これだけ見ると、ネガや画像データを購入している場合は複製配布は問題なく、未購入での複製配布はちょっと心配になるものです。ただし、「著作権第30条」には、他人の著作物であっても、“私的使用のための複製”が認められています。この「私的使用のための複製」には以下の文があります。
【個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。】
そこで考えるのが、七五三の写真(データ未購入)の複製を年賀状に使用して送ることが、“私的使用”の範囲であるか否かということですよね?意見や所感など情報を拾い集めてみると・・・
- 七五三の写真(データ未購入)を接写データ化し、印刷しても“家庭内”で見るだけなら私的使用。
- データ未購入だけど写真を複製して年賀状に印刷。“家庭外”に配布すると著作権侵害に値するとも考えられる
- 私的使用であっても、第三者(例/別の印刷業者)にプリントを依頼するのは違法となる
でも!?この「家庭内その他に準ずる限られた範囲」であればというのが、私たち法の素人である一般人的には都合よく解釈したくなりますよね?この“範囲”は、本当の家庭内のみという判断から、家族同然の友人までは範囲に含めるという考え方もあるようですから。いろいろな意見を拾うことができました。
- 「友人はダメだけど、親戚だけならOKってこと?」
- 「両親と義理の両親だけに送る年賀状だけになら、使って平気なの?」
- 「でも、相手が誰であれ他者に配るものに使用したとたん、違法なのでは?」
- 「お金設けするわけじゃないからいいでしょ?個人的な年賀状は営利目的じゃないし…」
結局、素人判断では限界がありますが、今回のお題について大腕を振って「合法」と言えるような情報には巡り逢えませんでした。反面、このテーマで一般人が訴訟を起こされた事例も見つけられなかったので、付きつめれば本来は「黒」でありながらも状況的に「グレーゾーン」で収まってしまっている感じなのでしょうか。
スタジオという商売を考えれば・・・
著作権だの、その中の複製権だの、法律知識のない一般人にはぶっちゃけよくわかりません。一生懸命読み砕こうとしても、文章自体がややこしく、考え方も散らばってしまって、なかなか明確な判断ができかねます。
ただ、写真スタジオ側の立場にたって商売について考えてみると、撮影したデータは基調な収入源。ある程度の金額で販売をするか、収益につながらない時期以降に格安で譲渡するのは、いわば立派なビジネスなんですよね。だからこそ写真は素人があっさり鮮明なスキャン複製できないように、コピー防止的なものが施されているのかもしれません。
■プロの写真家からしてみたら、データ未購入の複製を年賀状に使われるのは、どんな想いなんでしょうかね?
- 商売の妨害との印象。モラルのない人であると嫌悪感を抱く
- 素人複製の“粗末な画質”だから、そんなものでよければご勝手に
- 第3者から、自分の撮影した画像の品質が問われるのではとやや懸念……
いずれにせよ、決して良くは想われないことだけは確かでしょうね。
なお、「著作権侵害」は、被害者の告訴がなければ公訴の提起をすることができない「親告罪」というそうです。でも、仮に刑事責任がないからといって、民事責任が問われる可能性は残るそうです。
最後に
今回のお題について「結局のところどうなのよ!?」と聞かてしまうと、法律家ではないので素人判断には限界があります。でもこの「“素人には限界”がある」は、世間一般の“みんなの動向”の現れかもしれません。
- おそらく世の中のほとんどの人が、白だか黒だかわかっていない
- 良くないことかもと薄々思いながらも、刑罰を受けるほどの意識は持っていない
- 違法の可能性が0でない気がしつつも、取り締まる監視機能の低さも承知済み
ただ、予備知識があるのと全く深く考えないのとでは大差が出るはず。少しでも承知していれば、撮影時に確認してみたり、あえて冒険することなく迷わずデータ購入をしたり、もしくは年賀状の贈り先を限定するといった自分なりに納得できる選択ができると思うからです。
ちなみに七五三の撮影を、気の良い店主がいる個人経営の写真館に依頼するという方法も。対応してくれる写真館は本当に稀かもしれませんが、スタジオの中には、撮影中もしくはスタジオ内での個人のカメラ撮影OKのところもあるんですよ。ダメ元で確認してみると良いかもしれませんね♪